聖ゲオルギウス祭

聖ゲオルギウス祭 George,Feas

 ゲオルギウスは、民衆に愛された聖人で、イングランドのみならず、他の多くの国の守護聖人であります。
 牛、馬、狼、そして魔女と吸血鬼に敵する者すべての守護聖人でもあります。
聖ゲオルギウス祭の前夜は一年で最も危険な夜と考えられたのです。
というのは、悪魔と吸血鬼の力が最大になるからです。
人々は、吸血鬼に対抗する武器を集め、家に閉じこもったのです。
戸口にはサンザシを置き、コールタールの十字をドアに描き、たき火を焚き、アザミを窓辺に置き、そこら中にニンニクを撒いたのです。
ルーマニアでは、部屋の明かりを消し、夜通し祈りを唱え、抜き身の刀を枕の下に入れます。
シャワーベンの一部では、夜通し鐘を鳴らします。
もし何事もなく夜が過ぎると、翌日はサンザシやニンニクを片付け、家々を薔薇などの花で飾り、熱狂的に聖人の祭りを行います。



 さて、小説の方ではジョナサン・ハーカーがドラキュラ伯爵に依頼されてドラキュラ城へ行く直前、宿の女将にこんな事を言われています。
「今日は聖ジョージの祭日の前夜ですよ。今晩、時計が十二時を打つと、
 世界中のすべての悪霊が我物顔で歩き回るということを知っとるんですか。
 お客さん、御自分が何処へ、何のもとへ行こうとしてなさるんか、知っとるんですか。」
 まさにこれから始まる物語を暗示しています。


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